2019/10/02 07:52
やっと猛暑が過ぎ涼しくなってきたので、外で上機嫌で塗装をしていたら、暑さで息を潜めていた蚊が子孫を増やすため、命よ燃えよとばかりに一斉に襲い掛かってきました。
わずか30分ほどで十数ヶ所刺されました。
どうも痒みの鬼、FEZZ TONEの三輪です。
前回はバッファが何なのかの説明でしたので、今回はギターサウンドにおけるバッファの影響について書こうと思います。
まず前回説明したとおり、エフェクターに内蔵されるバッファは、信号をローインピーダンスに変換して次の回路、電子スイッチを正しく動作させるためのものですから、だいたいは回路の1番最初に位置しています。
(例外もあります)
ギターからの信号が一番最初に通りますから、当然サウンドへの影響があります。
バッファによりローインピーダンスに変換され、サウンドの変化したギターサウンドがエフェクト回路に入っているわけです。
まぁここではバッファのサウンドを体感する事は難しいですが、そのエフェクトサウンドは変換され変化したギターサウンドを元にチューニングされています。
バッファードバイパスのエフェクターなら、ギターからアンプ直のサウンドと、エフェクターを繋いでオフの状態を比べる事でバッファサウンドは確認できます。
まずここまでがバッファとエフェクター、単体による関係です。
さて、ここからが本番です。
今までエフェクターのバッファサウンドを確認した経験がある方なら、ほとんどの人がこう思ったんじゃないでしょうか?
アレ?音痩せしてね?
アンプ直のサウンドに比べると、ハイ落ち、ロー落ちしてなんかモコモコした音に…。
なんなら少し音量も下がってるような気も…。
近年こそバッファサウンドが取りざたされて、バッファサウンドにも気を使ったエフェクターも増えてきましたが、90年代くらいまでのエフェクターのバッファサウンドは、お世辞にも良いと思えるものは少ないです。
じゃあバッファなんて無い方がいいんじゃない?
そんな声が神に届いたのか、90年代半ばくらいからトゥルーバイパスというエフェクトOFF時に回路を全く通らない方式のエフェクターが登場してきます。
これでバッファが有り無しに関わらず、ギターからのフレッシュな信号をアンプに送る事ができます。
最高じゃないですか?
実際試してみると、アンプ直と音質の違いはほぼありません。
トゥルーバイパスの登場後、このバイパス方式は物凄い勢いで普及しました。
これで全ての問題は解決しました。
と、思われましたが…。
ここでもう一回バッファが何なのか?をおさらいしてみましょう。
ギターからの信号をローインピーダンスに変換する
ギターからの信号は当然ながらハイインピーダンスです。
弦の振動をコイルを巻いた磁石(ピックアップ)で電気信号にして送り出す。
そんなんめっちゃ弱い信号に決まってますやん。
すぐノイズは乗るし、シールドも長くなればなるほど音痩せもするし。
なんでギターのハイインピーダンスをローインピーダンスに変換するの?
弱い信号だからです
トゥルーバイパスのエフェクターは、信号が回路を通らないと言っても、インプットジャック→スイッチ→アウトプットジャックと最低3つの接点を通ります。
弱いハイインピーダンス信号のまま。
当然そこで少しずつ信号は劣化します。
トゥルーバイパスのエフェクター1つだけなら、その接点を通った劣化はほぼわかりません。
ただそれが2つ、3つ、4つと増えていった時、全てのエフェクターをOFFにしたら…。
そのギターサウンドはかなりの劣化、音痩せをしているのを体感できると思います。
トゥルーバイパスも完全ではないということです。
それとは逆の話で、以前立ち寄った楽器店で、お店の方とたまたまバッファについての話になったのですが、そのお店ではバッファの実験のために100mのシールドを製作した事があったそうです。
ギターとアンプをその100mのシールドで繋いだら、酷い音痩せで音量も大きく下がり、蚊の泣くような音しか出なかったそうです。
それが100mのシールドの手前にBOSSのエフェクターを1つ繋いだら、ちゃんとしたギターサウンドが出たと仰ってました。
それほどハイインピーダンスとローインピーダンスには違いがあります。
では、どうすればいいのか?
それはそれぞれプレイヤーが良いと思う音を追求すればいい話なんですが、現在はギターから最初に音痩せの少ない良質なバッファに繋ぎ、後段に送るというのが主流のようです。
もしくは好みのサウンドのブースターか歪みペダルを常にONで使用する。
(バッファとは違いますが、回路上のトランジスタ やオペアンプを通れば信号はローインピーダンスに変換されます)
私もそれがベストな選択の1つだと思います。
ここまで長々書いてきましたが、結局バッファってどうなのよ?ってとこですが、エフェクターを製作する身としては、複数のエフェクターを使うなら、ギターからの信号が劣化する前にバッファでローインピーダンスに変換してやるのが良いと思っています。
バッファは無いよりあったほうがいい!
これが私の見解です。
今は少し前と違ってバッファの機能が重視され、良いサウンドを目指したバッファを内蔵したエフェクターや、バッファが単体でたくさん発売されています。
非常に選択肢の多い、良い時代になりました。
逆に音痩せ(言い方を変えれば音質変化)があるバッファでも、それが全体のトータルサウンドとして良い場合もあると思います。
ちなみにバッファの次に繋がるエフェクターも、ギターから直のハイインピーダンスを入力するのとバッファを介したローインピーダンスを入力するのとでは、音が結構変わったりします(特に空間系)。
試してみると、もう知り尽くしたはずの所有エフェクターが、違う顔を見せてくれるかもしれません。
色々試してみると面白いですよ。
それではまた。